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多摩南宣教協力体司祭巡回ミサ

2012年07月01日

小池 亮太 (カトリック町田教会主任司祭)

今日は三位一体の主日ですが、福音朗読の中で(三位一体)と関係あるのは「父と子と聖霊の名によって洗礼を授け」(マタイ28・19)という言葉だけでした。しかし、典礼暦を見てみれば、この世に独り子を与え尽くした父なる神の愛を(復活祭)で喜び感謝し、(主の昇天)で独り子が天に上げられたことを祝い、
入れ替わるように聖霊が降って来た(聖霊降臨)で喜びの季節である復活節を終えた私たちは、この<三位一体>の主日で、それらの日々を総括していることに気が付きます。

さて、いま読まれたとおり、十一人の弟子たちは「ガリラヤ」で復活したイエスに出会ったとマタイ福音書は記しています。それは「弟子たちにこう告げなさい。『あの方は死者の中から復活された。そして、あなたがたより先にガリラヤに行かれる。そこでお目にかかれる』」(28・7)という神の使いの言葉と、「行って、私の兄弟たちにガリラヤへ行くように言いなさい。そこでわたしに会うことになる」(28・10)という復活したイエスの言葉を聞いた婦人たちが弟子たちに伝え、弟子がそれを聞き入れ、実行したからです。しかし、なぜ、神の使いもイエスも、「ガリラヤ」に(しつこいくらい)行けと言うのでしょうか? それは、イエスが教えと奇跡の多くを行った場所がガリラヤ地方だったからです。弟子たちは何よりもまず、<原点>に立ち戻る必要がありました。なぜなら、十字架を知らなければイエスの教えと行い(ガリラヤの日々)の意味を受け取ることができないし、十字架上の死(エルサレムの日々)の意味もイエスの教えと行いと重ねた時に初めて見えてくるからです。

しかし、ガリラヤで復活したイエスと出会った弟子たちは喜んだり恐れたりすることもなく、全く感動的ではありません。それどころか、「疑う者もいた」(28・17)とあります。このように訳すと「一部の人が疑った」ことになりますが、直訳すると「彼らは(全員)疑った」となります。「彼らは伏し拝んだが、彼らは疑った」とは、どういうことなのでしょう?そこで、「疑う(δΐστάζω)」という言葉に注目したいと思います。

この言葉は、新約聖書で2 回だけ、それもマタイ福音書だけでしか使われていません。今日の箇所と、もう一箇所は、弟子たちの乗っていた舟が逆風のために波に悩まされていた時、湖の上
をイエスが歩いてやって来たという出来事(14・22―33)の中で、イエスに向かって水の上を歩き始めたものの、強風に気が付いて怖くなり、沈みかけたペトロを引き上げたイエスが「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」(14・31)と言ったという箇所です。「なぜ恐れたのか」と言っても良いのに、「なぜ疑ったのか」と言うのは、少し妙な感じがします。

ペトロはイエスだけを見つめ、イエスに信頼していた時は水の上を歩いていました。ところが、風に気を取られ水に対する恐怖に心を奪われた時に沈み始めた…つまり、ペトロの心は<イエスへの信頼>と<水に対する恐怖>とに引き裂かれた時に沈み始めたのです。ここに「疑う」という言葉の意味が明らかになります。「疑う」と訳されたギリシャ語は、元々「二つの思いを持つ」「二つの方向へ歩む」という言葉なのだそうです。また、イエスの言葉から、<疑い>の反対が<信仰>であることも明らかになります。<疑い>とは「神と他のものに
引き裂かれる」ことを意味し、<信仰>とは「一つの心で全てを神に委ねる」ことを意味しているのです。

しかし、たとえ<信仰>の反対が<疑い>であっても、「疑う」のは悪い事ではないと考えています。「疑う」からこそ<原点>に戻って来られるからです。私たちにとっての<原点>とは、<ミサ= 聖書・聖体>です。私たちはミサによって日々の出来事の意味を見いだし、また日々の生活の中でミサの意義を見いだします。今日、<ミサ>に集まって来た私たちは、多かれ少なかれ、──ガリラヤ(原点)に戻って来た弟子たちのように──「疑っている= 心引き裂かれている」のではないでしょうか。だからこそ、私たちは<ミサに>集まり、<聖書>のことばを聞き、「私は世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」(28・20)という約束の実現である<聖体>を受けて、自分の心をキリストと一致させていきます。ですから今日、一人ひとりの<疑い(二つの心)>が、少しずつ<信仰(一つの心)>へと変えられていくことを願いながらミサを続け、聖体を拝領したいと思います。

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