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人はみな求道者

2020年02月01日

山本量太郎 (カトリック成城教会主任司祭)

70年安保の嵐が吹き荒れていたころでしたから、もう50年以上も前のことになります。当時の私は、神学校に行きたいと考え始めていて、立川教会の塚本金明神父さま(1991年帰天)のところに夜遅く押しかけてはいろいろと質問を浴びせていました。 

ある晩、私は教区司祭と修道司祭の違いについて、あれこれ尋ねていました。その時も塚本神父さまはていねいに説明してくださったにちがいないのですが、その晩の話の内容はまったくといっていいほど覚えていません。ただ、彼が最後につぶやくように言った言葉だけは鮮明に覚えています。 
「そんな違いは、実は私にもぴんとこない。自分は何よりも求道司祭でありたいと思っている。」 

おそらく塚本神父さまの造語であろう求道司祭という、初めて聞く言葉に、当時の私はそれこそぴんときませんでした。でも、なぜか記憶に残りました。そして、年月の経過とともに、私の中でふくらんでいき、特に司祭になってからの私にとっての大切な言葉の一つにさえなりました。 

キリストの教えを学ぶために教会に通い始めた人は求道者と呼ばれ、いつの日か洗礼を受けると信者になります。しかし、信者になっても求道者を卒業したわけではありません。実に、人は生涯、求道者なのです。 

ある時、信者の中から司祭が誕生しますが、信者をやめて司祭になるわけではなく、信者のまま司祭になるのであり、さらに言うならば、求道者のまま司祭になっているのです。 

ところで、ヨハネ福音書にだけ登場するニコデモという人物がいます。彼はファリサイ派に属する教師でしたが、ある晩、人目を忍んでイエスを訪ね、教えをこいます。そして、「教師でありながら、こんなことも分からないのか」と言われてしまいます。教師の面目丸潰れなのですが、それでも彼は席を蹴ってしまうようなことはしませんでした。 

教師であっても、司祭であっても、人はみな求道者です。「こんなことも分からないのか」というイエスの言葉が今日も聞こえてきますように。 

成城教会に来て、いつの間にか4回目のお正月を迎え、初心に帰りたいと思いました。恩師の求道司祭の教えを忘れないで歩んでいきたいと、改めて決心した次第です。 
 

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