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11月のメッセージ

月報 第645号

「当たり前こそありがたい」

山本量太郎 (カトリック成城教会主任司祭)

人間はなぜ「ありがとう」と言わなくなっていくのでしょうか。それは、何でも当たり前だと思うようになるからです。でも、世の中に、そして人生に当たり前のことなど一つもありません。

それなのに、人間はなぜ当たり前と思うようになっていくのでしょうか。それは、生活というもののほとんどが繰り返しから成っているからだと私は思っています。朝起きてから夜眠りに就くまで、生活のおそらく80パーセント以上は繰り返しでしょう。顔を洗って歯を磨いて、ご飯を食べて、お風呂に入って、等々。人間の体は半分以上が水分だと聞くとビックリしますが、それどころではないのです。そして、人間というものは、繰り返していると当たり前だと思うようにできているのです。ですから、当たり前という思いが頻繁に浮かんでくるようになったら、要注意です。必ず「ありがとう」は減っていますから。

繰り返していることは、大切だからこそ繰り返している、そのことだけは忘れないようにしたいと思っています。そのいちばんいい例が心臓の鼓動です。生まれた時から心臓は、収縮と拡大を繰り返してくれています。心臓がその繰り返しを止めてしまったら、人間は生きていくことができません。そんなに大切なことなのに、私たちは当たり前だといつの間にか思ってしまっているのです。

朝起きたら何も考えなくても顔を洗ったり歯を磨いたりします。そのような習慣を身に付けることはとても大切なことですから、親は毎日、子どもたちが何も考えなくても実行できるように、ごく自然に生活の一部となるようにと願って、幼いころから躾けるのです。そうして身に付き、当たり前になっていることがどれほどたくさんあるでしょうか。それらはみな大切なもの、当たり前になっていることがありがたいことなのです。

どんなに変わった生活形態の人であったとしても、生活は生活ですから、当然のこと繰り返しが多いのです。毎日劇的なことが起こるわけではありません。マンネリを感じることもあるでしょう。当たり前のことが多くなると、今度は当たり前でないことに対しては不満ばかりになるでしょう。でも、人生に当たり前のことはありません。時々、チェックしてみませんか。「私は今日一日、ありがとうと言っただろうか」、と。


月報11月号
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