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コラム:この世は天国か地獄か

2015年06月01日

心理療法家 植村 高雄

私たちは日常生活の中で温泉に入ってビールでも飲むと「これは天国だ」と喜び、キツイ仕事をする時は「あぁ地獄だ」と、そんな感覚で天国と地獄を語ります。今日は愛がある世界が天国で、愛のない冷え切った世界が地獄、という観点で書いてみます。

さて、「幸福感を感じると逃げ出してしまうケース」があります。私の場合をお話ししますと、父は海軍の軍人でした。ちょうど私が小学校に入る頃でしょうか、父は重巡洋艦(じゅうじゅんようかん) に乗っており訓練の日々でした。子どもだった私は久しぶりに父が帰ってくると家族で楽しい時間を過ごしました。私にとって父との触れあいは幸せでしたが、その父が翌朝にはもう家におりません。また軍艦に戻って出港したのです。私にすれば楽しく幸せな瞬間がパタッとなくなってしまうわけです。幸福感が、突然の寂しさと悲しい思いと幸せの喪失感に変わってしまいます。

世間一般の事例では、幼い頃とても幸せに暮らしていたのにご両親だけが事故などで亡くなったケースがあります。幸せだったときに突然いなくなるのです。「幸福だった雰囲気」は覚えていても、幸福な雰囲気のすぐあとに悲しく寂しい出来事を体験すると「幸福が恐いという感情」が支配するようになります。このように「幸せだった時が急になくなる」、そんな体験を積み重ねていくうちに幸せになりそうになると逃げてしまう。新しい出会いが始まったときに自分は逃げ出す傾向があるという性向に気づいたら克服の第一歩です。

人間の心の仕組みは幸福を感じはじめたときにその幸福感のうしろにある悲しみや喪失感を無意識に感じる傾向があります。長い人生を元気に明るく生きていくためには身近な人々を愛し愛されることが大事ですが、幸福感を感じているときにその幸福を失う恐怖感が自分の中にあることを意識していないと、「新しい出会いをも拒否」する悲しい結果になります。親密な関係になっていくことを危険と感じるのではなく、親密な関係は人を幸せにする大切なファクターであると意識することで、幸福感を感じたときに不安になる自分から解放されていくといわれています。

このように、別れを恐れず幸福や出会いを求める挑戦を続けていくと、この世はあたたかい人情と友情と愛情に満ちあふれた天国に生きる喜びを感じるようになるようです。

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