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故戸田神父の殉難の生涯 -世界平和のために-

2024年06月01日

世界では今、ウクライナ、ガザで紛争があり、無辜の人々が犠牲になっています。こうした時代だからこそ、戦時中に平和の使徒として働いた故戸田帯刀神父(旧喜多見教会初代主任司祭)の生き方に触れるため、『封印された殉教』の著者、四旬節特別講話 講師の佐々木宏人氏(荻窪教会所属)にインタビューしました。

戦中の社会状況について駐日バチカンのマレラ教皇使節は、「日本では戦争が情け容赦なく進行中であり、『平和』という言葉を口にするだけで警察や憲兵に目をつけられ、深刻な結果が待っているのです」「この言葉がキリスト教徒と聖職者に大変な苦難を与えることになるのです」と吐露し、「平和」で始まる公電を送らないようにと教皇庁への手紙で要請しています。このマレラ使節の手紙から、当時いかに「平和」、あるいは「平和」をもたらすための「和平」という言葉を使うことが危険だったことがわかります。

戸田神父は1944年1月、横浜教区長の着座式に臨みました。札幌教区長時代、軍刑法違反(造言飛語罪容疑)で逮捕・拘留された“前科”を持っていましたから、当局から要注意人物として一挙手一投足には厳しい監視の目が光っていました。「私は自分の生命にかけて、日本のため、また世界平和のために働きます」と誓いの言葉を述べ、「平和」を唱えましたが、天皇への言及や軍部批判をしていないので、不敬罪や治安維持法に問われることはないと考えたのでしょうか。

戸田教区長は1945年5月13日、聖母御出現の日を記念して『平和の為の聖時間』を行う決心を立て、50日間、毎夜の12時に山手教会の聖堂に行って祈り、黙想し、ロザリオを唱えるなどして2時間あまり過ごしました。昼間は教区長として、徴兵されて戦場に向かう聖職者や信徒を激励、疎開する信者への対応、英霊となって帰ってくる信者への鎮魂の祈りなど、気の休まる時間はなかったと思われます。7月1日までの50日間、戸田教区長は、必死の思いで聖霊が降臨して終戦をもたらすよう「平和の祈り」を捧げたのでしょう。

終戦の3日後、戸田教区長は保土ヶ谷教会で執務中に銃殺されます。吉祥寺教会に1956年か57年頃、「私は横浜の憲兵隊員で戸田教区長を射殺した。その罪をどう償えばいいか」と40歳前後の男性が“自首”してくると、教会側は「赦しを与える」と伝え、社会的制裁を受けさせる機会を自ら手放しました。「平和を求める」ために苦闘したカトリック神父射殺事件を知り、「ひとつの世界にふたつの戦争」が起きている時代、この状況にどう対処していくか考える一助にしてもらいたいです。

 

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