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きょうだいの皆さん

2017年06月01日

山本 量太郎 (カトリック成城教会 主任司祭)

「子どもたちに向かって呼びかけるとき、できるかぎり使わないように心がけてきた言葉が、実はあるのよ」。私がまだ駆け出しの司祭だったころですから、もうかれこれ40年近く前のことになります。幼児教育一筋に長年打ち込んで引退された、ある高齢の女性から一生忘れ得ない言葉をうかがう機会がありました。「それは『皆さん』という言葉なの。だって『皆さん』という子どもはいませんからね」。

そう言われて、私は相槌(あいづち)も打てず、立ち往生してしまいました。教会のミサの中で毎日せっせと「皆さん」と呼びかけていたからです。そして、それは今も毎日続いています。ミサの式次第には「主は皆さんとともに」という、集まった信者がたに司祭が呼びかける決まった言い方があり、ミサ中なんと5回も繰り返されるようになっているのです。

もちろん、「皆さん」という言葉自体には何の罪もありません。でも、くどいようですが、「皆さん」という人はいないのです。目の前にいるのは、あくまでも太郎君であり、花子さんなのです。

成城教会で毎日曜日、ミサをささげていますが、まだ名前と顔の一致しない方がたくさんおられます。ミサのたびごとに、たとえそうであっても心をこめて「皆さん」と呼びかけるとき、キリストからの一人ひとりへの思いが届くのだから、と言い聞かせながら「主は皆さんとともに」と呼びかけさせていただいています。

しかし徐々にではありますが、ミサの中の「皆さん」に関しては、別の観点から積極的に味わえるようになってきている感じがします。そもそも「皆さん」自体がかなりの意訳で、直訳すれば「あなたがた」なのですが、その「あなたがた」とは「兄弟姉妹であるあなたがた」にほかなりません。

きっかけは、ある朝のミサ、奉納祈願で「皆さん…」と招いた時でした。今は「皆さん…」で始まっている司祭の招きの言葉が、ラテン語ミサの時代には必ず「オラーテ・フラートレス」だったことをなぜか思い出したのです。「オラーテ」は「祈れ」、「フラートレス」は「兄弟たち」ですから、そう呼びかけている司祭のためにも祈ってください、という意味合いが確かにありました。ただの人間、欠点だらけの自分のような者が、おそれ多くも司祭としての中心的な奉仕をこれから果たそうとしている、まさにその直前に、兄弟の皆さん、そんな私のためにも祈ってください、と切実な思いを込めて呼びかける言葉だったのです。

成城教会を担当するようになってちょうど1年、いまだに顔と名前の一致しない方が多いことを申し訳なく思いつつ、ミサのたびごとに「皆さん」と呼びかける司祭の心に去来することを、成城教会の兄弟姉妹の方々と分かち合えればと願いながら記した次第です。

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