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新しい1年の始まり

2017年01月01日

山本 量太郎 (カトリック成城教会 主任司祭)

四季をいうときの順番は決まっていて、「春夏秋冬」、必ず春が最初に来ます。春は第1の季節であり、もともと1年の始まりでもありました。そこには、寒暖や乾湿の気象の変化に対応して生きてきた人たちの豊かな知恵が感じられます。1873年(明治5年)まで用いられていた日本の旧暦がまさにそうでした。旧正月はたいてい今の新暦の2月に来ましたから、初春や新春などという言葉も違和感なく使うことができたのでしょう。

古代ローマでも同様で、1年はマーチ(今の3月)という春の月から始まっていました。それが証拠に、現在は12番目の月になっているディセンバーも、元来は10月という意味です。ローマ帝国が紀元前45年にユリウス暦を発布しただけでなく、年始をマーチからジャヌアリーに移したため、月名に2か月のずれが生じてしまい、現代に至っています。このユリウス暦は太陽暦だから当然ですが、1年の長さが正確でした。しかし、その代償として1か月が単に1年の12分の1となり、天体の月の動きとは関係がなくなってしまったのです。年始の移動とあいまって、季節や気象との一体感も薄らいでしまったことは否めません。

そんな中で、冬至(12月22日ころ)はとても大切に考えられていました。太陽を神と崇めるミトラ教などの宗教も盛んで、冬至のあとに太陽神の祭りが行われていたほどでした。冬至を境に日照時間が長くなっていくことを太陽の誕生と考えたわけです。このようにローマ帝国内に冬至を重視するという土台があったことと、ジャヌアリーを最初の月とする新しい太陽暦を民衆が受け入れたこととは無関係ではありません。少なくとも、冬祭りというほどのもののない日本で、新暦に突然切り替わった明治初期の人々のほうが、心理的な抵抗ははるかに強かったのではないでしょうか。なにしろ、何の前触れもなくお正月がいきなり春から冬に移ってしまったのですから。アジア諸国で今も旧正月が盛大に祝われているのは、至極当然の結果といえましょう。

降誕祭のちょうど1週間後に新年がやってくる。たまたまではありません。クリスマスが12月25日になったのも、ジャヌアリーという月から1年が始まるようになったのも、もとをただせば冬至と関係があるからです。

6世紀になって「キリスト紀元」が提唱され、徐々に普及していきます。キリストがお生まれになってから何年目という数え方であり、長い人類の歴史は、キリストがお生まれになる前と後とに分けられるという根本的なことを表しています。実に、クリスマスも元日も、イエス・キリストの到来によってまったく新しい時が始まったこと、そして、その新しさが2000年たっても少しも古くなっていないことを祝う祭日なのです。季節の移り変わりとともに過ぎていく歳月の中で、けっして過ぎ去ることのない神の偉大なわざを祝っているのです。

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