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喜多見の鐘の音

2017年12月01日

山本 量太郎 (カトリック成城教会 主任司祭)

昨年5月末、成城教会に赴任したわたしは、聖堂の朗読台の前で、「喜多見教会の鐘」と25年ぶりの再会を果たしました。そしてそのとき、もう一度この鐘の音を聞きたいと、せつに思ったのです。このまま置いておいては鳴らすことができない。この鐘を聖堂内のどこかに吊るすことはできないものか。成城教会への着任は、そう思いめぐらす日々の始まりともなりました。

「25年ぶりの再会」、「もう一度」と書いたのには、わけがあります。わたしは30年前、喜多見教会にいたのです。そして、その年迎えた喜多見教会60周年の記念行事の一つとして、狛江市岩戸北の旧聖堂から喜多見駅前の礼拝会内に移って以来10年間、置きっぱなしになっていた喜多見の鐘を、仮のやぐらを組んで吊るし、鳴らすという出来事に立ち会ったのでした。その同じ鐘が今わたしの目の前にある!巡り合わせの不思議さを思い、胸が熱くなるのを覚えました。小田急沿線に初のカトリック聖堂ができて90年の記念の年に、この鐘を再び吊るし、今度は5年ぶりに鳴らしたいと考えるようになるまでに、それほどの時間はかかりませんでした。

今夏、旧喜多見教会で赤ちゃんの時洗礼を受け、大人になるまで過ごされた柴田巌さんが召されました(78歳)。その訃報に接したとき、この方のお名前にはなぜか聞き覚えがありました。喜多見教会の懐かしい思い出を書いたこの方の文章を、どこかで読んだことがあると思ったのです。手元にあった喜多見教会80周年記念誌をすぐ見ましたが、発見できませんでした。わたしの記憶違いだったのかなと数日間思っていましたが、ご葬儀が終わった後、70周年の時に出された薄い文集があったことを思い出しました。そこにはやはり柴田巌さんの「喜多見の松風」という文章が掲載されていました。そして、「ミサが始まる前に鳴った鐘の音が忘れられません」と記されていました。記憶に残っていたのは、確かにこの一文だったのです。

成城教会は4年前の夏、喜多見教会の全歴史を引き継ぎました。喜多見教会は今、成城教会と一体となって、成城教会の中に生き続けています。90年の全歴史を共にしてきた喜多見の鐘は、その目に見える大切なしるしの一つです。

来る2018年、それは喜多見に教会ができて90年、その25年目に喜多見から分かれて成城教会ができて65年、そして喜多見の成城への統合が行われて5年という年です。その節目となる1年を一足早く、教会の暦に従って待降節第1主日(12月3日)から始めます。間もなく聖堂入口左脇のコーナーで鐘の設置工事が始まるでしょう。喜多見の鐘がミサ開始の合図として、成城教会の聖堂で初めて鳴らされる今度のクリスマスを待ち遠しく思っています。

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