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5月のメッセージ

教会報 第657号

アウグスティヌスの有名な逸話?

山本量太郎 (カトリック成城教会主任司祭)

ある日、アウグスティヌスが海辺を散歩しながら、三位一体の教理について思い巡らしていると、一人の子どもが砂浜を掘って穴を作り、海の水を汲んできては繰り返しその穴の中に入れている光景が目に留まりました。なぜそんなことをしているのかと尋ねると、その子は、海の水を全部この穴の中に入れようとしているのだと答えます。そんなことは無理に決まっていると言ったアウグスティヌスに向かって、その少年は、三位一体の神秘を人間の頭で理解しようとするのも同じことだと答えました。そして気がついた時、子どもの姿は消えていました。その少年は天使だったのです。 

三位一体の神秘 

私はこの話を、小学校高学年の時に教会学校で聞きました。それは、アウグスティヌスという有名な聖人の名前を生まれて初めて聞いた時でもありました。そして、実話と信じて大人になりましたが、神学校に入ってしばらくすると、この話が後世に作られたものだと分かり、内心すごくがっかりした覚えがあります。 
しかし、私は子どもの頃にこの話を聞いておいて、本当に良かったと感謝しています。それは、三位一体の神を人間の頭の中に入れることはできない、逆に、私たちが三位一体の神の世界の中にいるのだということが、私の心の奥底で、しっかりと土台になった日でもあったからです。 

福音と教理 

聖書に三位一体という言葉は出てきません。使徒たちは自分たちの見たこと、聞いたこと、経験したことを「福音」として語ったのですが、その福音はすんなりと受け入れられるようなものではありませんでした。ユダヤ人にとってはつまずきであり、ギリシア人にとっては愚かなものだったのです。でも、教会は福音を受け入れやすいように変えたりはしませんでした。ですから、三位一体の教理はお世辞にも分かりやすいものとは言えませんが、そこには、古代の教会が使徒たちから伝えられた福音を、人間に与えられた言語という限界の中で、教理として確定していった過程があることを忘れないようにしたいものです。 


教会報5月号
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