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3月のメッセージ

月報 第550号

「信じるべきもの」

福島 一基 (カトリック成城教会 主任司祭)

 「ドクター」と呼ばれている神父様がいらっしゃいます。何でも知っているからです。どんな質問にも即座に答えてくれます。ある時、神父様の話に疑問を持ったので、自分で調べてみましたら、間違ったことを教えられていました。この神父様はかなり教 養の深い方ですし、話し方も説得力がありますので、けっこう間違ったことを言っても納得しそうになります。でも、人間ですから、たまには勘違いして間違ったことを言ってしまうこともあるんですね。「ドクター」なんてあだ名がついたのも、教養の深さからのものだとは思いますが、負けず嫌いで何でも答えなくては気が済まない性格から来ているみたいです。神父様ももちろん人間ですから、間違うこともあります。でも、わたしたちは「神父様が言ったこと」を簡単に信じてしまいがちです。

最近、インターネットで口コミ情報というのがあります。レストランなどについて、本当に来店してみた人の評価が情報としてあるのです。おいしい店に行きたい場合は、わたしも必ず参考にしています。それでも、人の嗜好といったものは千差万別です。1人の人の意見では当てになりませんが、多くの人が評価しているから間違いがないというものでもありません。中には、いい評価だけ掲載して、否定的なものは削除されてしまうものもあるそうです。インターネットの情報も、すべてが真実ではありません。

聖書の中で、イエスさまはこう教えておられます。「来なさい。そうすれば分かる」(ヨハネ1・39)。確かにそのとおり、何よりも真実は自分の目で確かめるのが一番です。人の噂や評価ばかり気にしていては、真実には行き当たりません。自ら行動し、体験することは非常に大切なことなのです。成人洗礼の方は、洗礼を受ける前にいろいろと躊躇した経験があると思いますが、実際に受洗してみてからではないと分からないことはたくさんあったと思います。ただ、そこまで行き着く勇気が必要です。たとえイエスさまが言われたとしても、大荒れの湖でのペトロのように恐れおののいてしまうこともあるでしょう。

加えて、イエスさまはこうも言われます。「何を聞いているかに注意しなさい。あなたがたは自分の量る量りで与えられる」(マルコ4・24)。すなわち、どれだけこの世を創造された神様に信頼しているか、その分に応じて勇気が与えられるのでしょう。信じるべきもの、また信頼に値するものはやはり真実のみです。すぐ疑いの気持ちを抱き、臆病になってしまうわたしたちは「何を聞いているかに注意」したほうがいいのかもしれません。


月報3月号
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