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感謝

2008年06月01日

染野 治雄 (カトリック城山教会司祭)

先日は、成城教会で初ミサを捧げさせていただけたこと、また、皆さんと再会できたことをたいへんうれしく、感謝申し上げます。そして、5月9日に長崎・城山教会に無事着任いたしました。右も左もわからない新任司祭ですが、こちらでも皆さんに助けられながら、仕事をし始めたところです。

今年のカトリック教会の最大のイベントといえば、ペトロ岐部と187殉教者の列福式であることは、あえて申しあげるまでもないでしょう。この188人のうち司祭・修道者は5人だけで、あとは、さまざまな身分や職業の老若男女の信徒であり、混乱の世の中で、それぞれの生活を通して、信仰の証を立てた人々です。いわば、この188人は、日本のすべての殉教者の代表であり、この列福式は日本のすべての殉教者を、私たちの信仰の模範として記憶に留めて、称えるためのものであるといえます。

この188人の代表として名前が挙げられているのがペトロ岐部です。彼は迫害の時代に単身ローマにおもむき、司祭に叙階された後日本に戻り、信者への司牧を続けました。しかし、ついに捕らえられ、穴吊りの拷問にあって殉教を遂げました。そのときの記録に残されているのが有名な、「キベヘイトロはころび申さず候」という一文です。ただ一心にキリストとの一致を望んだ、旅の人でした。これは単なる無鉄砲とか向こう見ずな勇気とは別のことです。何がなんでもイエスに従いたいという信仰のなせるわざであるといえます。188人のなかには、ほかにも、天正遣欧使節の一人であった中浦ジュリアン神父、アウグスチノ会の神父金鍔(きんつば)次兵衛らの名前が入っています。ちなみに、私が派遣された城山教会はアウグスチノ会の教会でもありますので、とくに今年は列福式への熱が高まっています。

さて、人を、このような死をも厭わない信仰へと駆り立てた力とは一体何だったのでしょうか。この188人の中には、家族もろとも殉教した人たちも多く含まれています。ふつうの親なら、自分は死んでも、子どもだけは助けたいと思うでしょうが、キリシタンの親たちは、子どもたちまでも一緒に道連れにしています。他の人からみれば、まったく理解することができない狂気の沙汰のように思われます。

今の時代は「救い」ということの現実性がとても薄れてきているように思います。私たちは、他人との比較によってしか、ものごとのよしあしを判断することができず、本当によいもの、本当に基準となるべきものを持っていません。これでは殉教に意味を見つけることはできません。たしかに、高邁な主義主張のために身を捧げることは無意味ではないでしょう。しかし、単純に殉教を美化してしまうことは避けなければなりません。殉教者の死は、決して英雄的な犠牲でもなく、単なる個人の信念を貫いた上での死でもありません。殉教者たちを死におもむかせたのは、ただイエスに倣いたいと言う、一途な信仰によるものでした。それはまったくの恵みによる愛の行いでした。これこそ、彼らにとっての救いだったのです。このように、イエスの言葉には私たちが思う以上のとんでもない力が秘められているのです。イエスの言葉は、それを聴いて信じる人を全く新しい人にする力があるのです。

いまの日本では現実的に殉教はできませんけれども、ただ、別な形でイエスにしたがうことはできます。私たちの日々の生活の労苦をイエスに捧げること、そして他の人のために自分を捧げ、苦しみを分かつこと。日々の生活の中で、それぞれの人の仕方によって、小さな殉教を捧げていくことができます。その積み重ねによって、この世界は全く新しい神の国へと変えられていくのです。神さまを知らない人にとっては、殉教は愚かなものに見えます。しかし、神の愛を知って、変えられてしまった人にとっては、殉教とはもはや神の愛への応答としての究極の表現となるのです。

殉教者列福の年に、カトリックのふるさとであるこの長崎の地で奉仕できることは、私にとってもたいへん大きな恵みです。殉教者の伝統を受け継ぐこの地で、その信仰にどっぷりと浸かって、その核心を体験して、神と人々に仕えるとはどういうことなのかを学んで行きたいと思っています。

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