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12月のメッセージ

月報 第615号

「父の涙」

山本 量太郎 (カトリック成城教会 主任司祭)

父の涙を、一回だけ、見たことがあります。私は、中学生でした。我が家が仙川から立川に引っ越して何年か経ったころです。当時まだ30代後半だった父は毎日、猛烈に働いていました。何しろ6人の子どもと病気の祖父母を養いながら、マイホーム購入のためにした多額の借金を毎月せっせと返していたわけで、それには大変な苦労があったに相違ありません。その父の、最大の楽しみは「晩酌」でありました。

ある晩、父は大好きなお酒を飲みながら、私をなぜか横に座らせ、といって私に話しかけるふうでもなく、独り言のように、大丈夫だ、大丈夫だと何回も繰り返していましたが、その日はだいぶ酔っていたらしく、「我が家はお前たちのおばさんが毎日お祈りしてくれているから、大丈夫だ」と言って、その場で横になって眠ってしまいました。その父の寝顔に、頬を伝った涙が明らかに残っていたのです。親父(おやじ)が泣いていた! びっくりしました。母は寝入ってしまった父に布団をかけながら、お父さんはお前が中学生になったので、我が家の経済が苦しいことを理解してほしかった、でもカルメル会のシスターたちが毎日祈っていてくださるから、どんな困難があっても大丈夫だと信じていることも伝えたかったに違いない、そう話してくれたのを覚えています。

幼いころから私は家族とともに欠かさず日曜日のミサに通っていたので、教会とはまず「目に見える形で集まる教会」であることを体で覚えていましたが、もう一つの教会、すなわち「目に見えないつながりとしての教会」があるということも、父親の涙を目撃したその晩に、私の心にしっかり入ったのだと確信しています。それから今日に至るまで、私にとっての教会には、父の妹がいるカルメル会修道院がなくてはならない存在となりました。そして、そのシスターたちの祈りに支えられているという意識が、父だけではなく、私の心にも消えないものとなり、今も宝となっています(カルメル会のシスター方、比較的近くの教会に来て半年経つのに、1回しかミサに行ってなくてごめんなさい。でも、本当にそう思っているのです)。

カトリック成城教会は、「お祈りを大切にする、開かれた教会を目指している」、ホームページにそう書かれています。もちろん、私たちはお祈りをすでに大切にしていますが、もっともっと大切にしていきたいものです。そして、祈りのうちに互いに支え合う、そういう共同体として成長していけたらと願っています。


月報12月号
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