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10月のメッセージ

月報 第613号

「キリエ・エレイソン」

山本 量太郎 (カトリック成城教会 主任司祭)

 ミサが始まるとまもなく一同は「あわれみの賛歌」を歌います。「主よ、あわれみたまえ」という歌詞で始まる短い賛歌です。あわれんでくださいと願っていますが、それを賛歌として歌うところにポイントがあると思っています。心の奥底から「あわれみたまえ」と叫ぶとき、その願いに必ず耳を傾けてくださるイエス・キリストを信頼し、たたえて歌う賛歌というのが私の理解です。

 「キリエ・エレイソン」というギリシア語が訳されて「主よ、あわれみたまえ」になりました。そうなのです。ミサが全部ラテン語で行われていたと思われていた時も、実はここだけはギリシア語でした。そして、もともとギリシア語で記された福音書は、イエス・キリストへの「あわれみたまえ」という願いがかなえられた出来事をいくつも残してくれています。「ダビデの子イエスよ、私をあわれんでください」という盲人の物乞いの心からの願いを聞き入れ、見えるようにしてくださった(マルコ10 章)。重い皮膚病を患っている10 人の人の「イエスさま、先生、私たちをあわれんでください」という願いもかなえてくださった(ルカ17 章)。

 カトリック教会には「射祷(しゃとう)」という一つの祈りの形があります。「神という的に向かって放たれた矢のような短い祈り」とでも説明したらいいのでしょうか。いくつもの射祷がかつての祈祷書(公教会祈祷文)に載っていましたが、私にとってはその中で、「主よ、あわれみたまえ」が第一のものとなりました。

 心の中で唱える時にはもっぱら「キリエ・エレイソン」のままです。それは、若い時に投げかけられた問い、その時は答えられなかったけれども深く心に残った問いに対する私なりの答えでもあります。なりたての神学生だった私は、ある年配の信徒の方から、仏教の「南無阿弥陀仏」という念仏あるいは「南無妙法蓮華経」という題目にあたる短い一句がキリスト教にはあるかと問われたのです。そして、何も答えられない私に向かってその方は、自分にとっては「キリエ・エレイソン」だとおっしゃいました。それから40 数年、ようやく私がたどり着いたのは「キリエ・エレイソン」、同じ答えでありました。


月報10月号
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