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5月のメッセージ

月報 第587号

「後ろ姿」

福島 一基 (カトリック成城教会 主任司祭)

高校生の頃、気になる女性が2人ほどいました。実は2人とも後ろ姿しか知らないのですが。そして2人とも毎朝通学の途中遭遇するのです。1人はいつも前を歩いている女子学生でした。間違いなく年上だと思いますが、当時流行のちょっと長めのスカート姿でした。もう1人はスクーターで追い抜いていく女性です。彼女は通勤なのでしょう。どちらもいつかは顔を拝んでみたいと思って画策したこともあります。もちろん絶対に一度は見たことがあると思うのですが、前からの姿は全く記憶にありません。それでも今になっても後ろ姿は鮮明に思い出すことができるのです。ただ自分がいやらしいだけなのでしょうか。


後ろ姿は無防備です。自分で見ることができないだけではなく、飾ることもできないのですから、正直な自分自身を映し出してしまうのでしょう。我に返り、自分はどんな後ろ姿をしているのかが気になってしまいます。子どもの頃からあまり姿勢がよくなかったので、母親に言わせれば、すぐにわたしだとわかるそうなのです。きっと成城教会の皆さんは、ミサの時、必ずわたしの後ろ姿を見なければならないと思います。どんな風に見えているのでしょうか。教えていただきたい反面、聞きたくもないような気持ちです。


後ろ姿はその人自身を物語ります。よく「後ろ姿を見て学べ」と言われましたが、わたしも両親だけではなく、お世話になった恩師や先輩の姿を見て成長してきました。その広さと安心感に憧れ、時にはその背中に守られてきました。多くを語らず背中で語るような人間になりたいと、今でも思っていますが、口先ばかりの自分はまだまだです。


そういえばわたしは司祭になってから、信者の皆さんの後ろ姿を目にすることがありませんでした。もちろん、皆さんも司祭であるわたしにおしりを向けるのが失礼だと思っていらっしゃるからでしょう。それでも最近、皆さんの後ろ姿をゆっくりと眺めることができるようになりました。自分が司式しないミサの時です。6年もこの教会の司祭として担当させていただいたからなのですが、結構後ろ姿で誰かもわかります。そして一人ひとりの後ろ姿に、それぞれの十字架が見えるのです。皆さんが様々な悩みや苦しみの中で教会に集まり祈っていることが、ようやく今になって実感できたのです。


そのような中で教会に集う皆さんに励まされます。皆さんと共にキリストの後ろ姿を目指しながら歩みを続けたいものです。心より感謝です。


月報5月号
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